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【97】役員退職金の支給を想定した役員報酬の増額改定について

2025/04/07
【97】役員退職金の支給を想定した役員報酬の増額改定について

1.役員退職金の支給を想定した役員報酬の増額


税法上、「役員退職金は、いくら高額でもOK!」と言う訳ではありません。

原則として、次の計算式に当てはめた金額以内であれば、
その役員退職金は損金算入が認められます。

最終報酬月額×在任年数×功績倍率=損金算入可能な役員退職金(上限)


よって、社長などの役員さんが数年後に退職予定の場合、
  • 今から役員報酬を増額しておきたい
  • いくらまでの増額ならば税務上の問題がないか?
というご質問を頂くことがあります。


過大役員報酬の数値基準はありませんが、

 ①職務内容
 ②法人の収益状況
 ③従業員給与の支給状況
 ④同程度の規模の同業他社の役員報酬の状況

・・・などにより判断することになっています。



ちなみに、

大分地裁(H20.12/1判決)では、

役員報酬月額200万円の案件に対して、適正な役員報酬は月額130万円!
との判決を下しており、この程度の乖離でも「過大額」と判断され、

納税者は敗訴しています。

2.社長の職務内容からの主張


次に、H29.4/25の国税不服審判所の裁決を見てみます。

この事例では社長の役員報酬(5期分)が問題になりました。
国税は各期における同業他社の「最高額」を超える部分を否認し、

国税不服審判所で争われましたが、

次のとおり判断されて納税者の主張は認められませんでした。



  • 社長の職務内容は事業内容に沿うものであり、
    中古自動車の卸売業を営む法人の代表取締役として一般的に想定される範囲内のものである。
  • 社長の職務内容は特別に高額な役員報酬を支給すべきものとは評価できない。
  • 法人の収益はおおむね一定である。
  • 従業員の給料もおおむね一定である。
  • 同業他社の役員報酬と比べても高額である。
  • 問題になっている社長の役員報酬の推移は、平成22年7月期を「1」とすると、
    「平成23年7月期:約2.3倍」、「平成24年7月期:約3.3倍」、「平成25年7月期:約3.9倍」、「平成26年7月期:4倍」、「平成27年7月期:約4.3倍」
    と高い伸び率となっている。


以上の理由により、各事業年度における同業他社の「最高額」を超える部分は損金不算入となったのでした。


ちなみに、納税者は

「社長の仕事(職務内容)ちゅうもんは、法人の事業全般にわたるもんやから、高額でも問題ないんじゃ!」

と主張しましたが、

国税不服審判所は

「代表者の職務内容が法人の事業全般にわたることは(別に特別なことではなく)一般的なことですよ」と判断し、

納税者側の主張は認められませんでした。


3.役員報酬の増額をどう考えるのか?


役員報酬の適正額は上述の①~④などで判断される訳ですが、

中小企業の場合は同族役員の役員報酬のみを突出して上げることもある訳です。

ただし、会社の業績がいい状況においても③の従業員の給与も同様に上げていくことは難しいでしょう。

そういう意味では最低でも②の「法人の収益状況」を根拠に説明したいところです。

もちろん、収益が上がらなければ、役員報酬を増額できない訳ではありません。

現状の収益から判断すると、本来の適正な役員報酬は200万円なのに、100万円しか支給していないこともあるからです。

このような場合は法人の収益が一定の推移でも、増額することは認められます。


4.役員報酬の増額と最終報酬月額


退職前の数年間で増額した金額を最終報酬月額にすることには

確実に否認リスクがあると考えます。

これが否認されれば「過大役員報酬」と「過大役員退職給与」のダブルチ否認を喰らいますので、

結果、納税額も多額になっちゃいます💦


どうぞご注意下さいね。

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