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連続税務小説 ヤマゲン 第18話「一人で書く、という選択」

2026/01/18
連続税務小説 ヤマゲン 第18話「一人で書く、という選択」

机の上に、二つの紙が並んでいた。

 一つは、税務署からの「お尋ね」。
 もう一つは、白紙のメモ用紙。

 田中 恒一は、しばらく、その二つを見比べていた。

 一人で書く。
 それも、できなくはない。

 材料費が増えた理由。
 外注費の内容。
 家事按分の考え方。

 先生と話したことを思い出せば、
 文章にはできそうだ。

「……自分で、やるか」

 そう呟いて、
 ペンを取った。

 まずは、材料費。

 〈前年より受注量が増加したため〉

 書いてみる。
 間違ってはいない。

 次に、外注費。

 〈一時的に作業量が増えたため〉

 これも、嘘ではない。

 家事按分。

 〈工場兼自宅のため、合理的に按分〉

 ――合理的。

 便利な言葉だ。
 でも、その中身は、
 どこか薄い。

「……これで、ええんか?」

 田中は、
 ペンを止めた。

 書けてはいる。
 でも、
 守られている感じがしない。

 もし、この文書で、
 税務署から追加の質問が来たら。

 もし、
 「具体的には?」
 と聞かれたら。

 そのたびに、
 自分一人で、
 判断しなければならない。

 正解かどうか、
 分からないまま。

 田中は、
 ふと、先生の言葉を思い出した。

「ここから先は、判断に責任が乗ります」

 責任。

 それは、
 怒られるかどうか、
 という話だけじゃない。

 この判断が、
 数年後の自分を、
 苦しめないかどうか。

 そこまで、
 背負えるかどうか。

 田中は、
 スマートフォンを手に取った。

 先生の番号を開いて、
 少しだけ、迷う。

 無料で教えてもらえる、
 そんな段階は、
 もう終わった。

 それは、
 今日の田中にも、
 はっきり分かっていた。

 それでも。

 田中は、電話をかけた。

「先生……
 あの、やっぱり、
 一人で書くのは、不安で」

 電話の向こうで、
 先生は、すぐには答えなかった。

 少しの沈黙。

 そして、
 落ち着いた声。

「正直に言いますね」

 田中は、息を飲んだ。

その感覚、
 めちゃくちゃ大事ですわ

 否定じゃなかった。

「一人で書くいう選択も、
 全然アリです」

「でもな」

 一拍。

不安なまま出すのが、
 一番あかん

 田中は、
 無言でうなずいた。

「お金払ういうんはな」

 先生は、続けた。

「作業代やないです」

「……」

判断を一人で背負わんでええ、
 いう状態を買う

 いうことです」

 田中の胸の奥で、
 何かが、
 すとんと落ちた。

 申告書を作る。
 文章を書く。

 それだけなら、
 自分でもできる。

 でも。

 この判断でいいのか。
 もっといい書き方があるんじゃないか。
 あとから問題にならないか。

 その不安を、
 一人で抱えなくていい。

「田中さん」

 先生は、
 ゆっくり言った。

「ここから先、
 一緒にやるなら」

僕は、
 “答え方”まで考えます

 田中は、
 深く、息を吐いた。

「……お願いします」

 言葉は、
 自然に出た。

 決断した、というより、
 納得した、
 そんな感じだった。

 電話を切ったあと、
 田中は、
 机の上の白紙を、
 そっと裏返した。

 一人で書く、という選択。
 それは、
 「できるかどうか」ではない。

 「背負うかどうか」
 の選択なのだと、
 田中は、はっきり理解した。

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