数日後。
田中が事務所を訪ねてきた。
応接テーブルに腰を下ろすと、少し考えるような顔をした。
「夏美先生」
「はい」
「銀行の担当が、来週また来るそうなんです」
夏美はうなずいた。
「資金の話ですか?」
「ええ」
田中は少し笑った。
「この前、黒字倒産の話を聞いたでしょう」
一拍。
「銀行って、どこを見てるんですか」
夏美は少し考えた。
「決算書だと思います」
「やっぱり利益ですか?」
「はい……利益も見ます」
言いながら、言葉を探す。
「それから」
「借入金の残高とか……」
田中は黙って聞いている。
夏美は続けた。
「資金繰りも見ていると思います」
そのときだった。
「銀行はな」
後ろから声がした。
ヤマゲンだった。
奥の机からこちらを見ている。
「利益も見る」
一拍。
「せやけど」
椅子から立ち上がり、応接テーブルの方へ歩いてきた。
「一番見るのは」
一言。
「返せるかどうかや」
田中は腕を組んだ。
「返せるかどうか……」
ヤマゲンはうなずいた。
「銀行はな」
一拍。
「貸した金が」
「ちゃんと戻ってくるか」
「それだけ見とる」
夏美は静かに聞いている。
ヤマゲンは続けた。
「利益が出てても」
「返されへん会社には」
「貸されへん」
一拍。
「逆に」
「利益が少なくても」
「ちゃんと返せる会社には」
「貸す」
田中はゆっくりうなずいた。
「なるほど」
「銀行は」
一拍。
「利益より返済を見るんですね」
ヤマゲンは小さく笑った。
「そういうことや」
通帳を軽く指で叩く。
「銀行はな」
一拍。
「この残高より」
「この先を見る」
夏美は顔を上げた。
ヤマゲンは静かに言った。
「来月」
「再来月」
「その先」
一拍。
「ちゃんと返せるか」
「そこを見る」
田中はゆっくりうなずいた。
「銀行の目は」
「未来を見てるわけですね」
ヤマゲンは答えなかった。
ただ小さく笑った。
田中が帰ったあと、
事務所は少し静かになった。
夏美は試算表を見つめていた。
利益。
借入。
仕掛品。
通帳の残高。
そして、
その先の資金繰り。
会社は、
今日だけで動いているわけではない。
明日、
そしてその先まで、
続いていく。
そのことを、
夏美はまた一つ、
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