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連続税務小説 ヤマゲン 第14話「それ、外注ちゃいますよ」

2026/01/14
連続税務小説 ヤマゲン 第14話「それ、外注ちゃいますよ」

その人は、よく工場に来ていた。

 元・同僚。
 独立する前、同じ会社で働いていた男だ。

「今、ちょっと時間あんねん。
 手、足りてる?」

 そう言われると、
 田中 恒一は、つい甘えてしまう。

「じゃあ、この加工、お願いできる?」

 図面を渡す。
 作業は、慣れたものだ。

 終わったあと、
 封筒に現金を入れて渡す。

「助かったわ」

「ええよ、ええよ」

 その関係が、
 もう何度も続いていた。

 月末。
 田中は、会計ソフトの前で手を止めていた。

「……これ、外注費でええよな?」

 請求書はない。
 領収書もない。

 あるのは、
 田中の記憶と、
 作業が終わった事実だけ。

 外注。
 便利な言葉だ。

 社員じゃない。
 家族でもない。

 だから、
 給与じゃない――
 そう思っていた。

 その夜、
 田中は先生に電話をした。

「先生、
 知り合いに手伝ってもろた場合って、
 外注費でいけますよね?」

 電話の向こうで、
 先生は、少しだけ間を置いた。

「状況、教えてもらえます?」

 田中は、
 作業内容、頻度、支払い方を説明した。

 しばらくして、
 先生が言った。

「……田中さん」

 声は穏やかだが、
 トーンが、少し変わった。

「それ、
 外注ちゃいますわ

 田中は、言葉を失った。

「え……?」

「外注いうんはな」

 先生は、ゆっくり説明した。

仕事のやり方を、
 相手が自分で決めてる

 状態です」

「やり方……」

「時間も、
 指示も、
 道具も」

 一つずつ、言葉を置く。

「田中さん、
 この人に、
 『何時から来て』
 『この手順でやって』
 言うてません?」

 田中は、
 無言でうなずいた。

「それな」

 先生は、はっきり言った。

限りなく、給与です

 胸の奥が、
 ずしんと重くなった。

「請求書があるかどうかやないんです」

 先生は続ける。

実態ですわ」

 ・指揮命令している
 ・継続的に来ている
・報酬が時間や作業量ベース
・他の仕事を断って来ている

「これ、
 雇われてるのと同じ
 判断されます」

 田中は、
 思わず机に肘をついた。

「知らんかった……」

「知らんでも、
 関係ないです」

 先生は、きっぱり言った。

「税務も、労務も、
 そこはシビアです」

「じゃあ、
 どうしたら……」

 先生は、少し声を和らげた。

「二択です」

 一つ。

ほんまの外注にする

「契約書作って、
 やり方は相手に任せる。
 成果物で払う」

 もう一つ。

給与として扱う

「源泉徴収して、
 帳簿に載せる」

 田中は、
 大きく息を吐いた。

「中途半端が、
 一番あかん、ってことですね」

「その通りですわ」

 先生は、少し笑った。

「みんな、
 楽なとこ取り
 したなるんです」

 楽に見える。
 でも、
 後で一番痛い。

「外注費と給与の違いってな」

 先生は、最後にこう言った。

呼び方やなくて、
 関係性の話
です」

 電話を切ったあと、
 田中は、工場の中を見渡した。

 自分が指示を出し、
 段取りを組み、
 責任を負っている。

 その中で、
 手伝ってもらっている人がいる。

 なら、
 それにふさわしい扱いを
 しなければならない。

 翌日、
 田中はその元同僚に電話をした。

「なあ、
 これからの話なんやけど」

 少し、緊張した声。

「ちゃんと、
 形、決めよか」

 相手は、
 一瞬黙ってから、言った。

「……それが、ええと思うわ」

 田中は、電話を切り、
 ノートを開いた。

 ・外注か、給与か
 ・指示の出し方
 ・支払い方法

 曖昧にしてきた関係に、
 言葉を与える。

 それは、
 縛ることじゃない。

 守るための整理
なのだと、
 田中は、少し分かった気がした。

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